任意整理で賃貸物件を追い出される?引越しできなくなる?

賃貸物件を借りるときの任意整理の影響

任意整理後に、賃貸物件を追い出されたり引越しを制限されることはありません。また、不動産仲介業者や貸主は信用情報機関に情報照会することができないので、任意整理の事実が発覚することはないでしょう。しかし、家賃保証会社が信販系の会社の場合は事故情報を発見される恐れがあるので注意が必要です。

賃貸保証の仕組み

任意整理と賃貸の関係を説明する前に、まずは賃貸保証の仕組みと、任意整理後の信用情報について見ていきましょう。

賃貸保証の仕組み

賃貸の物件を契約するには、賃貸仲介業者や貸主による入居審査を通過しなくてはなりません。入居にあたり必要になるのが、連帯保証人もしくは家賃保証会社との契約です。

連帯保証人と家賃保証会社

連帯保証人や家賃保証会社は、入居者が家賃を滞納した場合に代わりに支払う存在です。連帯保証人を立てる場合の費用はかかりませんが、家賃保証会社を利用する場合は保証料を支払う必要があります。

利用する家賃保証会社は賃貸仲介業者によって指定されることが多く、保証料は「家賃の一ヶ月分」や「固定額 ◯万円」など、保証会社により異なります。

家賃保証会社を利用するケースが増加

近年、賃貸契約のときに家賃保証会社を利用するケースが増えています。貸主にとっては、連帯保証人よりも確実に家賃を回収できて、入居者にとっては連帯保証人を探して依頼する手間が省けるからです。

しかし、家賃保証会社を利用している賃貸物件では、ある条件の場合に限り、任意整理を行った後の新規契約や契約更新に支障が出る可能性があります。

任意整理後の信用情報はどうなる?

次に、任意整理後の生活に与える影響が大きい「信用情報」についてです。クレジットカード会社や金融機関などは、クレジットカードやローンの申し込みがあった際、その人の情報を信用保証機関に照会して与信審査を行っています。

任意整理をした時点で「ブラックリスト」に載る

任意整理を行うと、金融機関から信用情報機関に通知が届き、信用情報機関のデータベースに事故情報(異動情報)として記録されます。こうなると、いわゆる「ブラックリスト」状態となり、しばらく経済的信用がなくなるためクレジットカードやローンの与信審査で不利になります。

一定期間はカードやローンの利用ができない

任意整理では、事故情報は5年間記録されます。削除されるまでの期間は、クレジットカートの新規申し込みや、手持ちのクレジットカードでのショッピングやキャッシングは難しくなります。事故情報が削除されても、整理をした金融期間等では「社内ブラック」として情報が残り続ける場合があるので、その会社では新たに借り入れをすることはほぼできないと考えてよいでしょう。

任意整理後に賃貸物件に入居する際の影響は?

ここで気になるのは、任意整理をしてブラックリストに載ったことが、賃貸物件への入居に関係してくるかどうかではないでしょうか。基本的には、任意整理をしたことが賃貸契約に影響を及ぼすことはありませんが、契約の時に注意が必要なことがあります。

任意整理と賃貸物件

不動産仲介業者や貸主に任意整理をしたことが発覚して債務者が賃貸物件を追い出されたり、逆に債務者が引越しをすることに制限がかかったりしないのでしょうか。

賃貸仲介業者は信用情報を調べることができない

まず、信用保証機関に情報を照会できるのは、クレジットカード会社や金融機関などの加盟社のみです。賃貸仲介業者や貸主が入居者の信用情報を調べることはできないので、任意整理を行った事実を把握される心配はありません。

任意整理後に住んでいる家を追い出されることはある?

任意整理したことを理由に賃貸物件を追い出されることもありません。しかし注意したいのは、滞納している家賃を任意整理の対象にするケースです。一般的に家賃を3か月以上滞納すると、裁判所が賃貸仲介業者や貸主に対して建物明渡請求(立ち退き請求)を認めることが多くなります。しかし、家賃を任意整理する場合、和解までに3ヶ月ほどかかりその間も滞納は続くため、弁護士が受任通知を送った時点で立ち退きを求められる可能性は否定できません。そのような事態を回避するために、家賃を任意整理の対象から外しておきましょう。

任意整理後に引越しはできる?

任意整理後で転居に制限がかかることはありません。債務整理手続きのうち裁判所の許可がないと引越しができないのは、自己破産の破産管財事件の手続き中だけです。

ただ、任意後に別の賃貸物件を探す際には、今まで通りにいかない点も出てきます。次項に挙げるポイントに注意が必要です。

任意整理後に賃貸物件で注意すべきポイント

任意整理を行っても、賃貸物件の契約を更新してその家に住み続けたり、別の賃貸物件に引っ越すことは可能です。その際は、次のポイントをクリアしているかチェックする必要があります。

家賃の支払いがクレジットカードになっていないか?

まず、更新時や新規契約時に注意したいのは、家賃の支払い方法です。最近は家賃のクレジットカード払いを売りにした賃貸物件が増えています。しかし任意整理を行うと信用情報機関に事故情報が登録されるため、クレジットカードが利用できなくなります。債務整理の対象に含めなかったカードも、更新や途上与信を機に使えなくなります。支払い方法は口座引き落としを利用しましょう。

信販系の保証会社を利用する物件かどうかもチェックしよう

賃貸仲介業者は信用情報を照会することができませんが、家賃保証会社が信販系の場合は情報を照会され任意整理したことを知られる可能性があります。信販系とは、オリエントコーポレーションやエポスカードなどクレジットカード系の会社です。任意整理の経歴が入居審査の結果を左右する可能性は否定できません。

信用情報を照会されたくない場合は、保証人を立てる物件や、全国賃貸保証業協会(LICC )や賃貸保証機構(LGO )に加盟している家賃保証会社を利用する物件を選びましょう。

家賃の支払いと任意整理の返済は両立できるか?

任意整理では決められた額を毎月きちんと用意して返済することが何より大切です。家賃は固定費として家計で大きな割合を占めるため、今まで通りの家賃の支払いと返済が両立できるかどうかは、しっかり検討しておくべきでしょう。

返済のためには家賃が低い物件への住み替えも考えてみる必要があります。生活レベルを落とすのは大きな決断を伴いますが、任意整理後の返済に行き詰まると、個人再生や自己破産などの形を取らざるを得ない可能性もあるのです。

任意整理後に特に気をつけたいのは、家賃の支払いがクレジットカードの場合と、利用する家賃保証会社が信販系の場合です。債務整理をしながら賃貸契約の更新や新規契約をスムーズにクリアしたい方は、弁護士などの専門家に相談してみてください。

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